御堂筋と堺筋の間、船場の一角に薄茶色の重厚な建物が目に入ります。「東洋のマンチェスター」と呼ばれた時代の大阪の象徴的な建築である「綿業会館」です。
竣工は1931(昭和6)年。我が国の基幹産業だった綿織物の輸出が急激に伸び、世界一だった英国に追いつこうとしていた時代を反映し、業界のシンボルとして建設されたものです。建設費は現在の価値にして約75億円と試算されています。
世界の社交場を目指そうと、イタリアルネサンス調の玄関ホールや米国調の会員食堂、英国調の特別室などが作られました。
1933(昭和8)年には英国を抜いて日本が綿糸布輸出で世界首位となりましたが、それから80年、この豪華な建物は当時の隆盛を今に伝えています。
(2012年9月)